kanachigaya

Welcome to Kanata's novels

おかしな夢をみてしまいまして…

HPにお越し下さりありがとうございます。

ここ数日親戚ラッシュが相次ぎ、へとへとになっておりました。
さあ、今日こそ書くぞと思いきや、うとうととした時に夢の中に出て来たモノが邪魔してくれまして…。
もうそれがインパクト強すぎてなにかを書いていても頭から離れずしっくりと書けず。
申し訳ありませんが、明日しっとり&サスペンス風勿忘草を更新させて下さいませ。

すみません、こんな夢でした…。
どうでもな夢をちょっと脚色した超短編です。
この勢いでファンタジー作りたくなりました(笑)
苦手な方は回れ右を…。

今、わたしの目の前の壁には、五百円玉ほどの穴が空いており、『見るな』と書かれた紙が貼ってある。
……やけに好奇心がわいた。
「見るなと言われたら、見ろと言われたと同義でしょう?」
しかしわたしの中で声がする。
鶴の恩返しだって青髯だって、「見ては駄目だ」と言われて見てしまったから、悲劇へとなった。
きっと見てしまったら、バッドエンドのフラグが立ってしまうから、無視して行けと。
無視、無視……その方が無理だ。
気になったらとことん気になってしまうのがA型。
ちょっと覗くくらいいいじゃないか。
「覗いちゃえ!」
穴を覗き込むと、なにかの家の中のようだ。
見た感じは、昭和世代の家の中。
サザ○さんとか、ちび○るこちゃんとかの雰囲気。
今は懐かしいブラウン管テレビがついており、白色の長袖シャツにステテコ、腹巻き姿の誰かが、後ろ向きで横たわってテレビを見ている。
「ぐはははは。馬鹿でー」
時折それは下卑た男の笑いをたてながら、傍にある缶ビールを飲んでいた。
「この裏に人家などないわよね。だったら、これはなに? なにかの映像?」
見ているとそれは、ぼすっとおならをして、「くせっ」と上体を起こした。
……本当に臭い。映像ではないらしい。
そしてあろうことかそれは、背中から蝿のような二枚の透明な羽を伸ばすと、羽をパタパタと震わせて臭気を扇いだのだ。
驚いたわたしが声を上げると、それはこちらを向いた。
白髪の薄毛にメタボ腹。
どう見てもおっさんだ。
無視しなかったから虫になったのだろうかなど、笑えないジョークにひとり寒くなるわたしの元に、それは羽でパタパタと重そうに低く飛んで近寄った。
……おっさん虫!?
人面虫というよりも、体格からしてただのおっさんだ。ただ羽で飛んでいるだけの。
赤子よりも小さいそれは穴から覗くわたしに、ぷはぁと臭い息を吹きかけながら言った。
『見るなと書いてあるのに、なんで見るんや、このアホンダラ。ちぃとは怪しめよ、その脳みそ干からびてるんか、ゴラァ!』
「む、虫が、おっさん虫が喋った……」
『はぁん? 虫? なに寝ぼけたことをほざいてるんや、ワシは天使や!』
「て、天使……」
わたしは頭を殴りつけられたような衝撃を受ける。
『見ればわかるやろ! どう見ても純白の天使や! お前のせいで、ワシ、働かなあかんことになったやないか、どないしてくれるんや、このボケぇ!』
「ひ、ひぃぃぃぃ!」
『しゃあない。ほな、お前と契約してやる。この穴に唇を突き出せや』
「唇?」
『接吻が契約や。早う!』
おっさんの脂ぎった唇が近づいてくる。
おっさんの言葉に従うように、不可抗力的にわたしの唇が穴に近づいていく。
「ちょっと待って。契約って?」
『契約は契約や。ワシからのありがたい加護を受ける代わりに、死んだらワシに魂を寄越すという』
「そ、それは悪魔では?」
『お前、人間の分際で、天使にいちゃもんつけるんか!?』
「ひっ!? チェ、チェンジは?」
『あぁん!? この麗しい大天使さまをなににチェンジする気か、お前!』
「ひぃぃぃ! 契約自体を拒否したら?」
『……お前に、拒否権はねぇよ』
……ああ、どこかの物語で見たようなイケメンの台詞をイケメン声で。
イケメンならまだ許せるのに。
美しい天使ならよかったのに。

いつしか壁は見えなくなり、おっさんが近づいてくるのがスローモーションに目に映った。

近づいてくる。
わたしの唇に!!

そして――。
まるでタコのような未知なる生物に吸い付いたようなおぞましさに、わたしは……悲鳴をあげて倒れた。
このまま目覚めたくない。
目覚めてしまったら最後、これ以上の悪夢が始まるのがわかっているから。

……その夢の先は――DEAD OR ALIVE?

願わくば……ハエ取りグッズに、少しでも効果がありますように。

『おっさん天使 完』

なんでこんな夢を見てしまったのだろう…かなり追い詰められているのか(笑)
こんなわたしですが、今後ともよろしくお願いします(笑)

奏多